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Movable Typeとは

Movable Type（以下MT）はウェブサイト構築・運用に利用されているソフトウェアです。国内では代表的なCMS（Contents Management System・コンテンツマネージメントシステム）のひとつとして知られており、2023年現在でも多くのシェアを持っています。比較的安全性の高い構成で構築が行いやすいことから、大きな企業や公共機関でもよく採用されているので、ウェブ制作に関わったことがある人ならば一度は名前を聞いたことはあるかもしれません。

また、高いカスタマイズ性があることもMTの特徴のひとつです。「MTタグ」と呼ばれる独自のテンプレートタグを組み合わせることで、登録されているデータを自由な形に加工して出力をしたり、プラグインを導入・開発して、機能を拡張することができます。

誕生といま

MTは2001年にアメリカ・サンフランシスコ在住のエンジニアによって開発されました。エンジニアがパートナーの執筆作業をサポートするために制作したものがMTのベースプログラムになっていると言われています。

特にWordPressが爆発的に流行するまでの間、MTはブログブームを牽引する存在のひとつとして多くのブログで使われてきました。海外と比較して、日本国内ではMTの特性に魅力を感じて利用し続けるユーザーが多かったため、2011年に日本法人がすべてのライセンスを取得して独立、以降は国内で開発が続けられています。

最新のバージョンについて

2023年10月までの最新のバージョンはMovable Type 7でしたが、2023年11月にはメジャーバージョンアップとしてMovable Type 8がリリースされました。

Movable Type 8では共有プレビュー機能や新しいブロックエディタ機能などのCMS利用者の使い勝手が向上する機能が搭載された他、管理画面の多要素認証機能などのセキュリティに配慮した機能も追加されています。

Movable Typeの特徴

安全な構成がとりやすい

MTは静的なコンテンツの出力を得意とするCMSです。静的なコンテンツとは、ウェブサーバー上でPHPなどのプログラムによるコンテンツの生成処理（動的処理）が行われず、直接ブラウザに送信されるものを指します。静的なコンテンツをブラウザで閲覧する際にはCMSへのアクセスを必要としないため、セキュリティの観点から見ると大きなアドバンテージを持っています。
さらに適切に構築をすることで出力されるファイルとCMSを紐付けないことも可能であるため、外部から見た場合にMTによって出力されたサイトであることもわからないことが多く、統計よりもさらに多いシェアがあるのではないかとすら言われるほどです。

また、サーバー構成を工夫することで、公開されるウェブサイトと、CMSとでサーバーを分けることもできるため、より安全で堅牢な構成をとることができます。

開発がしやすい

MTでは「テンプレート」という機能を用いて、様々なデータの出力ができます。一般的にはウェブサイト内の共通の枠組みをテンプレートに記述して、MT内で保存されたコンテンツをはめ込んだ上で、HTMLファイルとして出力するという、プリンターのような役割で使用します。テンプレート内では「MTタグ」と呼ばれる、CMSの機能を利用するための独自のタグを混ぜて記述することで、出力時に様々な形式で出力することができます。たとえば、「ページの一部で最新の記事のタイトルを10件表示する」というような処理はMTタグを使うことで簡単に実装することができます。MTタグではこうした利用頻度の高い内容に関しては、ほとんどカバーできるほど豊富な種類が用意されています。さらに、プラグインでMTタグ自体を新規で追加することもできます。
ある程度フロントエンドの心得がある人であれば、MTはCMSを利用したサイト構築の足がかりとして優れたソフトウェアとも言えるかもしれません。

プラグインで機能拡張ができる

プラグインを導入することで、標準では備わっていない機能を追加することができます。ソフトウェア単体では最小限の機能にとどめられているため、エンタープライズでの利用時には何かしらのプラグインの導入はほとんど必須です。

MTは開発者コミュニティによって支えられてきた側面があり、多くの企業や開発者が、プラグインを開発・公開しています。無償で提供されているものも少なくありません。もちろん、自身で開発して組み込むことも可能です。

最初はシックスアパートが運営している以下のサイトに掲載されているものから使ってみると良いでしょう。シックス・アパートが公認したプラグインが掲載されているため安心です。

Movable Typeは何で作られている？

MTはPerlという言語で開発されています。一部でPHPも利用されていますが、動的処理を行わない場合は必要ありません。MTはLinuxやWindowsで動作し、Perl以外にMySQLやSQL Serverなどのデータベースが必要になりますが、一般的なレンタルサーバーであれば利用することができます。

使い道とシェア

他にはどのような利用用途があるか

CMSはウェブサイトを作るためだけのものではありません。データを入力して、それを加工する役割としてであれば、様々な用途で使うことができます。例えば社内コミュニケーションとして利用されたり、文書やマニュアル等を管理する業務システムとして等、幅広い用途で利用されています。

どのような企業や団体が使っているか

一般的な企業だけでなく、教育機関や、公的な団体でも広く使用されています。過半数以上がMTを利用している業界もあり、プロジェクトで利用する上でも十分な実績を有していると捉えてよいでしょう。

以下はシックス・アパートが公開している自社調査のデータです。

日経平均株価構成銘柄である225社のうち59%、東証プライム上場企業である1837社のうち38%に選ばれてきたことがわかりました。大学での利用に目を向けてみると、国立大学87校のうち81%、さらに私立も含む日本国内の全795大学においても、その54%の学校でウェブサイトを運用するCMSプラットフォームとしてご利用いただいています。（2022年6月時点のデータより）

契約・利用形態

基本となるソフトウェアの単体販売に加えて、サーバーやプラグインがバンドルされているパッケージが複数用意されています。パッケージ・サービスはかなりの数があるため、ここでは主なパッケージ・サービスを紹介していきます。

シックス・アパートが提供する主なパッケージ・サービス

• Movable Type ソフトウェア版

  Movable Type ソフトウェアを単体で販売する一番シンプルなパッケージです。2年目以降も年間ライセンスを購入することで継続的なアップデート・サポートが受けることができます。

• Movable Type クラウド版

  ソフトウェアのライセンスと、MTがプリインストールされたサーバーが提供されるマネージドサービスです。必要なすべての契約がサブスクリプションに集約されているため契約が簡潔です。注意点として、CMSのアップデートが強制的に行われます。サーバーのセキュリティなどはユーザー自身は対応する必要はありませんが、コンテンツや追加導入したプラグイン等の動作確認などは必要です。

• MovableType.net

  Movable Typeライクに使えるオンライン完結型のSaaSサービスです。アカウントを作成するだけで利用することができます。MTタグが使用できるのでソフトウェア版と近い感覚で開発できるほか、費用が手頃で、ウェブサイトで利用するフォームやサイト内検索サービスと簡単に連携もできることから、特に小規模なウェブサイトに向いています。反面プラグイン導入やFTPアクセスができないなどの制限がいくつかあるため、条件に応じた利用が求められます。

機能強化パッケージ

サードパーティが独自に開発している、プラグインなどを追加したパッケージが多数存在します。その中から代表的なものを数点紹介します。

• Movable Type Premium

  コンテンツの階層表示や他段階のワークフローなど、エンタープライズ利用に適したプラグインが利用できるパッケージですシックス・アパートとスカイアーク株式会社が共同で開発しています。

• Movable Type Smart Sync Pack

  サーバーを跨いだデータの配信や、ワークフローなど、企業サイト構築に要望される追加機能をまとめたパッケージです。株式会社COLSISが開発・販売しています。

他にもさまざまなパッケージがあるため、プロジェクトに最適なものを選択して利用してみてください。基本的にはソフトウェア + プラグインという販売形態のものが多いため、一部のみをインストールすることも可能です。

終わりに

以上がMovable TypeがどんなCMS？という説明でした。

派手さや話題性こそ少ないものの、安全性の高さや、開発者コミュニティによって生まれたプラグインによってエンタープライズ向けも安心して任せることができる頼もしいソフトウェアと言えるでしょう。
本連載を読んで興味を持ったかたは、ぜひMovable Typeを使用した開発に挑戦してみてください。

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